少子高齢化、そして晩婚化が続くなか「一生賃貸のほうが実は賢い?」と考える方が少なくありません。しかし、果たして本当に一生賃貸が賢い選択なのでしょうか? その答えを考察してみました。
結論……!一生賃貸で過ごす人は住居費に注意しながら貯金する必要あり
少子高齢化の昨今、今後は住宅が余り、賃貸住宅の家賃も下がると予想されます。
しかし、メンテンスが行届き、交通の利便性が良く、周辺環境にも恵まれた物件を必要とする場合、その家賃は「安い」といえるでしょうか。
少子高齢化が加速するなか、人が住む場所は自然と集約されていくはず。
となると、利便性の悪いエリアは放置されるかもしれません(すでに、今も始まっています)
次項で具体的な数字を見てみましょう。
一生賃貸で暮らす人は老後に約5,000万円必要!?
5,000万円の内訳
1)60〜90歳までの30年間に必要な住居費
2,880万円
※家賃¥80,000で計算
2)無職世帯の実収入と実支出との差額5.5万円 × 30年間
1,980万円
(1)2,880万円+(2)1,980万円=4,860万円
また、後述する高齢無職夫婦の毎月の年金補填額5.5万円は、30年で1,980万円。
老後2,000万円問題について知っておきたいこと
ここでは、金融庁が2019年に発表した「老後2,000万円問題」について見ていきましょう。
とはいえど、老後本当に2,000万円が必要かどうか、皆さんは考えたことがありますか?
また、あの報告書をお読みになられたでしょうか。
老後2,000万円が必要とされる数字の意味
高齢夫婦無職世帯の収入・支出
- 引退して無職となった高齢者世帯の家計は、主に社会保障給付により賄われている
- 高齢夫婦無職世帯の実収入と実支出との差は、月5.5万円程度となっている
資料には、上記のように書いてあります。
年金を含む平均収入が月額21万円。
ただし、この数字が全員にあてはまる訳がありません。
支出を減らせれば、それほどの貯金は必要ないですし、反対に「余裕のある暮らしをしたい」場合は2,000万円以上の貯金が必要になるでしょう。
老後2,000万円問題の落とし穴。報告書の「住居費」に注目
現役時代に家を買わず、老後を「賃貸住宅」で過ごす場合は当然、「住居費」が膨らみます。
毎月13,656円で済むはずがありません。
老後、賃貸住宅に困ることはないと思う」という意見もありますが、果たして本当にそうでしょうか。
一生賃貸のメリット・デメリットを現役時代と定年後で比較
ここでは、一生賃貸のメリット・デメリットを、現役時代と定年後の2パターンに分けて見てみましょう。
【現役編】一生賃貸のメリット・デメリット
メリット
- 状況に応じて引っ越しできる
- 自然災害による修繕費が必要ない
デメリット
- 老後が不安
- 家賃が上がる可能性がある
- 夫または妻がなくなっても住居費は保障されない
- 立ち退きを求められる場合がある
現役時代のメリットは、住宅ローンを組まないで済むぶん、「気楽」といえる点にあります。
転勤、子供の誕生などに合わせ、引っ越ししやすいことも同様です。
※団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合、保険金により残りの住宅ローンが弁済される保障制度のこと
【定年編】一生賃貸のメリット・デメリット
メリット
- 相続税対策が必要ない
- サービス付き高齢者向け住宅などへの入居など住み替えしやすい
デメリット
- 家賃の負担が大きい
- 長生きするほど家賃がかかる
- 増改築できない
- 更新または入居を断られる可能性がある
定年後のメリットは、住み替えのしやすさのみです。
また、病気や怪我で車椅子生活になっても、自由に増改築できない点は不安です。
一生賃貸に向いている人
- 貯金があり、老後に備えられる人
- 実家を相続する人
収入が不安定、仕事も不安定という人は住宅ローンを返済するのも大変なはず。
その点、賃貸生活するほうが、リスクは軽減できます。
持ち家であっても老後の油断は禁物
持ち家を前提とした毎月の支出は13,656円とありましたが、この数字にも疑問を抱きます。
害虫対策や防水対策、外壁や屋根の修理があり、水まわりなどの設備も一定期間が経てば交換が必要です。
メンテナンス費と税金を合わせれば、月に必要な金額が見えてきますが、13,656円では足りない人も少なくないはず。
もう少し余裕を見て、貯金額を計算する必要がありそうです。
マンションは「管理費」「修繕積立金」が毎月必要
老後の生活を考えると、個人的にはマンションのほうが便利と考えていますが、分譲マンションは住宅ローンを完済し終えても「管理費と修繕積立金」が毎月必ず発生します。
これも念頭に置いて、将来計画を立てなければいけません。
一生賃貸の末路は?賢い?まとめ
まとめ
- 老後も賃貸を予定している人は住居費に注意が必要
- 年金支給額は減少する
- 寿命が伸びることも考えられる
少子高齢が進み続ける日本、年金は今後、確実に細くなるはずです。
また、老後の資産形成は退職金の有無によっても異なります。
そのため、ある程度の生活費を貯金で賄うのは賢明な選択といえますよね。
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