「カフェの内装」と聞くと「住宅とは大きく異なる」と思われるかもしれませんが、実はそうでもありません。
提供する商品やサービスに応じてデザインを決めるカフェと、住まう人のライフスタイルにあわせて家づくりをするその工程には、共通するポイントが多々あるからです。そこでこの記事では、カフェを例にインテリアと内装のヒントをまとめます。
内装デザインはカフェなら売上げ、住宅なら居心地に直結する
家を建てるときやリフォーム、リノベーションをする際、多くの人はモデルルームを内覧したり、施工を依頼する会社の事例を見ますよね?
カフェの内装デザインには家づくりのヒントが満載
一見すると、「住宅以外の場所を見て、何に役立つの?」と思われるかもしれません。
次項では、「カフェ」を例に、家づくりのデザインを左右する「内装デザイン」のポイントを見ていきましょう。
カフェに見るインテリアと内装デザインの種類
インテリアと内装の種類
- スケルトン系カフェ
- 隠れ家系カフェ
- 自然派系カフェ
- ポップ系カフェ
- 高級路線派カフェ
身近な存在ながら、その内装デザインは実にさまざまです。
ここでは、大きく5つの種類に分け、それぞれの特徴を解説します。
1. スケルトン系カフェ
今、急増中のスタイルといえば、「スケルトン」を生かした事例です。
コンクリートの天井や床、木造であれば梁をむき出しにするなどが、これにあたります。
2. 隠れ家系カフェ
「隠れ家」とあるとおり、街中よりも郊外に多く見られるスタイルで、木をベースにした造りが多いです。
3. 自然派系カフェ
人工的なものではなく、ナチュラルな素材を取り入れるスタイルです。
4. ポップ系カフェ
ポップ系は、丸みを帯びたデザインや、原色をはじめとする明るい色使いが特徴的な内装デザインです。
5. 高級路線派カフェ
木やタイルなどの素材はもちろん、壁は塗り壁にするなど、通常の内装とは違う差別化が必要となります。
カフェに学ぶインテリアと内装デザイン
ここからは、実店舗の事例も交えながら、前述した5つの内装デザインについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
スケルトン系カフェ
スケルトン系カフェは、「インダストリアル」というテーマで、たとえられることが多いスタイルです。
天井を表しにする手間や配管の施工が必要となり、二重天井をそのまま生かす住宅に比べ、費用がかかります。
天井の高さによっては空調効率にも影響しますが、ラフで無機質な空間がお好きな方におすすめのスタイルといえます。
特に、マンションなどのコンクリート造と相性抜群です。
参考カフェ|MORIHICO.STAY&COFFEE
MORIHICO.(モリヒコ)は、札幌の人気珈琲ブランドです。
古い木造民家を改装した「森彦」や、元倉庫の「Plantation」をはじめ、札幌市内に数店舗を構えています。
その中からわたしがピックアップするのは、カフェとホステルが一緒になった「HOTEL POTMUM STAY&COFFEE」です。
公式サイトをご覧いただくと、イマドキデザインの全貌がお分かりいただけると思います。
隠れ家系カフェ
マンションには向かない隠れ家スタイルは、古民家をリノベーションするなど、いずれも「木」をベースにする造りが特徴的です。
眺望や周辺環境に、独自性を持たせられる立地であるほどオリジナル性が高まるため、郊外に家を建てる方や自然の中に住みたいという方との相性が良いデザインといえます。
参考カフェ|けんちくとカフェkanna(かんな)
「かんな」は、設計事務所KANNA DESIGN(カンナデザイン)に併設されているカフェです。
木造ならではの温かみや、戸建ならではのエクステリアは、戸建リノベーションの参考になると思います。
自然派系カフェ
自然派は、無垢材や石、タイルなどを多用し「カラダに優しい住宅」を目指す人にぴったりのスタイルです。
大量生産や人工的な素材を使うことで安く購入できる資材とは違い、入手コストも施工の手間も掛かりますが、素材や質感にこだわりのある人ほどナチュラル志向な傾向にあります。
参考カフェ|35stock(サンゴーストック)
35stock(サンゴーストック)は、札幌の老舗工務店が手掛けるカフェです。
「家づくりを間近に感じてもらいたい」というテーマで作られているため、住宅に使われる素材や質感を、カフェに居ながら体感できる飲食店となっています。
ポップ系カフェ
アメリカンポップなどに見られる明るい色味を中心としたスタイルは、内装工事にも幅があり、仕様によって掛かる費用を調整しやすいのが特徴です。
ただし、安過ぎる内装材を使えば、見た目もそれなりになってしまうため、クロスや床材など面積の多い部分は、慎重に素材選びする必要があります。
高級路線派カフェ
高級感を演出するには、良い素材を使うことが重要ですが、それだけで良いのかと問われると、決してそうではありません。
既製品であっても、見た目のグレードや質感が変わらなければ、それを代用することでコスト削減も可能です。
ただし、家づくりの際は「良質な素材とは何か」を知らない限り、この選別は難しいため、施主にもある程度の知識が必要です。
参考カフェ|SOMOZA(そもざ)
SOMOZAは、築150年の古民家を移築したカフェです。
趣のある外観と、ギャラリー併設の店内はため息が出るほど素敵です。
参考カフェ|茶舗茶問(ちゃほさとい)
「シノワズリー」という世界観は、日本の住宅にはあまり見られないスタイルです。
しかし、それゆえに世界観があります。
木とコンクリートを調和させる内装デザインは多々あるものの、それらを高級感や落ち着きのある雰囲気へ昇華させる術が「茶舗茶問(ちゃほさとい)」には隠されています。
※残念ながら茶舗茶問は閉店されました
カフェに学ぶインテリアと内装デザインまとめ
この記事では、カフェを例に住宅デザインの方向性をまとめましたが、インテリアデザインでよくいわれる「北欧系」「モダン系」「クラシック系」なども全て、ご紹介した5つのどれかに当てはまります。
住宅と店舗では、その用途が明らかに異なりますが、空間デザインという点に置いて大切なポイントは、ほぼ共通しています。