わたしが東京から札幌へ移住したばかりの頃、市内の街並を見て、とても不思議に思ったことがあります。
それは住宅の屋根!「豪雪地帯の札幌で何故、屋根が平らなのか……?」ということで、この記事では「北海道の屋根の謎」を紐解きます。
ひと昔前までは、三角屋根やトタン屋根が当たり前だった北海道
北海道といえば、雪。
しかし……。時代の移り変わりとともに、屋根事情もどうやら変化している様子です。
といいますも、一昔前まで北海道といえば三角屋根やトタン屋根が主流でしたが、最近はフラットな屋根が増えています。
この屋根の造りに……「平らでも大丈夫な理由」が隠されていました。
知っておきたい屋根の形状
上記のように複数ある屋根の形状から、どうして北海道(雪国)の屋根だけがフラットへと進化したのか……。
次項で「無落雪屋根」について解説するとともに、平らな屋根が増えていった理由をご紹介します。
北海道(雪国)に多い無落雪屋根とは
無落雪屋根の種類
- 勾配屋根方式
- フラットルーフ方式
- スノーダクト方式
無落雪屋根には3つの種類があり、北海道や東北地方の新築住宅には今や、必ずといっていいほど採用されています。
北海道に無落雪屋根が増えた理由
足を滑らせて転落する事故は、今も絶えることがありません……。
無落雪屋根が普及したことで雪下ろしの必要が無く、除雪の労力が大幅に軽減されたといいます。
無落雪屋根のメリット・デメリット
- 雪下ろしの必要がない
- 土地を有効活用できる(雪下ろしが必要な屋根は、雪が落ちる場所を開けておく必要がある)
- 省エネ(無落雪屋根は融雪の多くを自然のエネルギーに頼るため、エネルギーの消費を抑えることができる)
- 雨漏りの可能性がある(スノーダクト式に多い)
- 太陽光パネルの設置が難しい
無落雪屋根のメリット・デメリットは上記の通りです。
雪降ろしの必要がないのは大きなメリットですが、冬は雪で屋根が覆われてしまうぶんデメリットもあります。
次項では、前述した3つの無落雪屋根について、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。
3種類ある無落雪屋根とそれぞれのメリット・デメリット
1. 勾配屋根方式
※最近では、雪止めを取り付ける必要のない勾配屋根もある様子
雨水が流れ落ちるため屋根の耐久性が高まるほか、雨漏りの心配もありません。
雪が落ちにくく、自然に溶けるまで屋根の上にのせておくことができますが、急勾配の場合は屋根の角度が高くなるため耐風性が弱まります。
2. フラットルーフ方式
平らなため、雪が落ちることは無いものの、実はわずかに勾配が付けられており、雨水や雪溶け水は傾斜方向に流れます。
太陽光発電を設置しやすく、屋根のメンテナンスもし易いのがメリットですが、夏場は2階が暑くなりやすく、防水対策次第では雨漏りすることもあるのがデメリットです。
3. スノーダクト方式
一見するとフラットな屋根ですが、実は屋根の中央がくぼんでいます。
ダクトを通して雨水を排水するほか、雪は太陽光などで溶けた際、このダクトに向かって流れ込むという仕組みになっています。
デメリットは、ダクトに枯れ葉やゴミが溜まりやすく、1年に1度は点検が必要な点です。
メンテナンスを怠ると、雨漏りする可能性が高くなってしまいます。
北海道の住宅の屋根が三角ではない理由まとめ
平らに見えて、実は平らではなかった北海道の屋根。
本州から初めて札幌や旭川へ来た方はきっと、わたしのように「屋根への違和感」を感じるはずです。
ご紹介のとおり、今では主流となりつつある「無落雪屋根」ですが、その一方で新築の際にあえて三角屋根やマンサード屋根を採用するお宅もまだあります。
札幌や旭川ではあまり見掛けませんが、道東や道北に住む方にとってはまだまだ身近で親しみのある屋根なのかもしれません。
マンション住まいのわたしですが、もしいつか注文住宅を建てることがあったら……どんな屋根にしようかと、妄想が膨らみます。
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