2017年の庇(ひさし)崩落に続き、2021年には水漏れが起きた宮の沢ハイツ……。そんな問題マンションが2021年、ついに解体されました。
この記事では宮の沢ハイツの事故や、解体に関するニュースをまとめています。
宮の沢ハイツの事故はマンション所有者の管理不足が原因
2017年、札幌市西区に建つ賃貸マンション「宮の沢ハイツ」の庇(ひさし)が約30mにわたって崩落しました。
事故から数年が経ったあとも修繕の目処は立たず、住民への説明も補償も充分ではなかったと聞きます。
当時は「入居者の生命に危険を及ぼす可能性が高い」として、マンションの管理会社は3階から7階の23世帯に避難要請をしたと言います。
20年間一度も調査報告がない宮の沢ハイツ
宮の沢ハイツの所有者
- 2003年まで:東京にある会社が所有
- 2003年以降:大阪にある会社が所有
3年おきに建物の状態を調べ、札幌市に報告することが義務付けられている「定期報告」が、20年間一度もなかったという宮の沢ハイツ。
事故から4年経ったあとも修繕されていなかった
事故当時に開かれた住民説明会では、驚くことに所有者が欠席。
説明会に呼ばれたのは避難要請された3階から7階の23世帯のみという状態で、具体的な修繕や避難費用などについては何も回答がなかったそうです……。
そんななか今度は「漏水」が起きてしまいました。
2021年2月宮の沢ハイツで水漏れが発生
マンションの廊下、住居の中まで「雨漏り」をはるかに越えた水漏れでした。
ただでさえ危険なマンションが次は漏水……。
所有者は今回も「被害者」意識のままなのでしょうか。
不動産所有者の管理意識が低いままでは事故を防げない
宮の沢ハイツの所有者はおそらく、投資目的で建物を見ずに購入し、管理会社に管理を丸投げしているのでは? と予想します。
そうでなければ「被害者」という発言などしないはずです。
分譲マンションであれば、住人による管理組合が機能する限り、このような事故は起きません。
この点は、賃貸マンションの盲点とも言えます。
問題マンション「宮の沢ハイツ」がついに解体
地域の経済ニュースサイト「リアルエコノミー」の記事によると、宮の沢ハイツは2021年の夏頃から解体工事が始まり、10月末には更地になったそう。
更地にしたあとは、北海道セキスイハイムが戸建て住宅用地として販売を開始するとのことでした。
参考:札幌・西町北19丁目の旧「宮の沢ハイツ」跡に北海道セキスイハイムが戸建て用地15区画
「宮の沢ハイツ」問題マンションの終わりまとめ
宮の沢ハイツの所有者に限りませんが、建物所有者は今一度「維持管理」について見直しを徹底いただきたいと強く思います。
あるいは、「何年間も報告のない建物は名前を公表する」などが義務化されれば、宮の沢ハイツのような事故は防げるかもしれません。
定期点検や報告が促進される手だてを考えてもらえないものか……。
今はなき宮の沢ハイツですが、同じような物件に住む方を思うと、いたたまれない気持ちになります。